□浮き世
1ページ/1ページ

もう梅雨は明けたはずなのに
まだ雨は降り止まぬまま
相合い傘をして
君の左肩が濡れてしまわぬよう
そっと傘を傾けた

君の悲しみは何色?
きっと美しい薄紫色
そう
あの公園に咲いてる
紫陽花のような

幸せって どんな色?
やっぱり空にいる光みたいな明るい色かな
そんなの いらないから
君を返して



人は一生に一度 必ず
他人を好きになるなら
誰だっていいじゃないか

こんなに側にいるのに
まだ目の届く所にいるのに
君は もう遠い人



お母さん
あなたも いつか
死んでしまうの
本当に手の届かない遠くへ



いつかは みんな死ぬ
この地球(ほし)さえも
だけどそれはまだ先の話だから
まだ生きるから僕を返して

今はただ眠りたい
何度も眠る
その内に
僕は僕になりすまして

また違う誰かの元へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ