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□カナリヤ
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望まれてもないのに


殺されもしなかった


立ち尽くすだけだった



この目さえ
光を知らなければ


見なくていいものがあった



身体が

お前を知らなければ引きずる思い出もなかった



近付いていく静寂に


やわらいだ縁取りが燃えてる



〜カナリヤ〜



∽∽∽∽∽
此所はうちは一族が所有する地下。

その真ん中に位置している堅いベッドに座ったまま手脚を拘束されたサスケ。

額や腕から血を流しその痛みに顔を歪めている

その時

別の人影が…


ガシャッー

「いい加減ココから出せ!」

何度叫んだかわからない掠れた声でサスケは忌々しい手枷から逃れようともがく

しかし動けば動く程、手首を捕らえた金具はサスケの肌を赤く滲ませていく


「口の減らない奴だな…」

光が届かない地下で頼りは蝋燭の灯のみ

ゆらりと浮かんだ人影・声の主をサスケは睨み付ける


「放せ!イタチ!何のつもりだ!」

そうサスケを捕らえたのはあのうちは一族を皆殺しにしたイタチ、実の兄だった


込み上げてくる憎しみと幼き頃、兄を慕った思い出。

困惑する思考と今自分が置かれている状況とが鈍った頭では冷静に考えられない

「強く殴り過ぎたか…?」

抵抗するサスケを捕らえるために自らが傷を負わせたサスケの額に手を当てイタチは血を拭う

「ヤメロっ…!」

サスケは瞳を逸らしてイタチのその手から逃れようとする


「サスケ…愚かなる弟よ。っ…何故だ…?」

急に視線を逸らし小さく呟いたイタチをサスケは目で追う

見ればあの極悪な兄が切なく熱を帯びた瞳で自分を見つめ返していた


イタチはすぐに瞳を逸らしもとの静かな表情を見せた


(何故だ…何故だ胸が痛む。復讐者として存在を許した弟、サスケ…。目の前にして何故これ程までに愛しいと感じるのか。)

イタチは胸の内にある感情に怯え始めていた

実の弟を…


サスケを…



愛しているのか…?



あり得ない。



イタチは冷酷な笑みを浮かべサスケの服を荒々しく取り去った


「ヤ、ヤメロ!何すっ…んっん」

抵抗して叫ぶサスケの口はイタチによって塞がれサスケは瞳を見開く


上半身を露わにさせられサスケはイタチを睨み上げた

「く…いい度胸だ。」

サスケに噛まれ流れ出た口端の血をイタチは拭った
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