雷銀小説

ありがとう
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あの日…龍華が居なくなって…新しい魂が生まれた

「…もう誰も死なせない」

その人は目に美しい金色の光を宿らせ悲しい殺戮を繰り返した

「…雷帝」

俺が彼と会えるのは夢の中だけだった
一つの体に二つの魂が存在しているから二人が現実世界で会えることはない

「銀次…」

夢の中の彼はとても優しい目をしている

「…こっちにおいで…」

現実世界での出来事は嘘のような優しい目

「うん」

本当の彼はとても優しい
彼があぁなるのは俺のせいなんだ
龍華…守ると誓った大切な人を守れなくて…悔しくて…押さえられない感情のなか生まれたのが…雷帝

「銀次?」
「…あ、なに?」

考えていたら雷帝が心配そうな顔をして覗き込んできた

「…また考えていたのか?俺はこれで良いんだ…」
「だって…本当は俺が皆を守らなくちゃいけないのに…」

俺ばかり綺麗なままで…彼は段々手を血で染める

「…銀次達を守れるなら…これくらい…どうってことない」
「ごめんね…」

俺が力が欲しいと願ったばっかりに…

「銀次…それを言うなら…ありがとうの方が俺は嬉しいな…」

その雷帝の言葉に何故か心は揺らされて泣きたい訳じゃないのに涙が出てきた

「ぎ、銀次?」
「…なんでもない…雷帝…皆を守ってくれて…ありがとう」

そのあと雷帝は涙を拭って優しく抱き締めてくれた

いつか…いつかきっと君を暗い殺戮という道から救ってあげるから…

君が幸せになるように…

それまでは俺は君が望んだ言葉を言うよ…

「雷帝…ありがとう…大好きだよ」

END
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