雷銀小説

君が生まれた日
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今日は忘れられない日…

とても大切な人がこの世に生まれた日だ

「………」

今、俺はある店の中で悩んでいる

「…こっちの方が…あいつに似合うか?」

今日は愛しい弟…銀次の誕生日。

やっぱり何かは贈りたい

「いや…でもな…」

俺は見ていた品物を置くと店から出る

「あぁいうの買ったら…銀次の事だから…きっと金の事、気にするよな」

俺がさっきまで居たのはアクセサリーショップ

前に銀次に似合いそうなモノがあり今日、買おうと思っていたがどうも買えずにいる…

何故なら銀次は俺が一人暮らしの為に金を貯めている事を知っている為、なるべく俺に金の入り用をさせないように気を遣うからだ

「優しいのは良いが…やっぱり淋しいんだよなぁ…ん?」

俺は気紛れに歩きながら通り掛かった花屋の前で立ち止まる

「花か…」

色とりどりに色付いた花…これなら銀次も受け取ってくれるだろうか?

「…すみません…これ…14本ください」

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「あ、お兄ちゃんvV」

家に帰るといい匂いがしてきた…いつもと変わらない懐かしい匂い

「ただいま」

俺は花を背中に隠しリビングのソファの後ろにソッと置いた

「母さん達…今日も遅いのか?」
「…あー…うん…電話あったよ」
「そうか…」

…本当ならば家族で祝ってやるのが一番なんだが…

「お兄ちゃん!ご飯出来たよ!!」

それでも銀次は我儘を言わない

「…銀次…こっちおいで」

手招きすると銀次はトコトコと可愛らしい足音で近づいてくる

「なぁに?」

俺の目の前まで来た銀次を膝の上に乗せ先程置いた花束を銀次に差し出す

「はい誕生日おめでとう」
「…え?」

銀次は一瞬目を丸くしたが次の瞬間泣き始めた

「ふ…お兄ちゃぁぁん!」
「喜んでくれたか?」

泣きじゃくる銀次を抱き締めながら囁くと銀次はコクコクと何度も頷いた

「ありがとう…ありがとうお兄ちゃん!!」





これからも君の生まれた日に君が生きた年月の数だけ花を贈ろう…

君に似合うユリの花を…

END
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