雷銀小説
□初めて逢った刻
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『…俺に…力があれば』
何故かは解らないが…この声の主を助けてやりたかった…
『…俺が…力になろう』
そう【俺】が言った瞬間…目の前に漆黒の髪の少年が現れた…
暗やみを照らすようにまばゆい光を放ちながら
「…誰…?」
その少年の声はいつも聞こえていた声…
『…何者にも負けない力が欲しいか?』
【俺】はその事を不思議にも思わず少年の近くに歩み寄る
「…欲しい…大切な人達を護る力が…」
少年はたどたどしい物言いだが…はっきりと言った
『お前が望むのなら…【俺】はお前の力になろう』
「…?なんで?」
『きっと…それが【俺】の使命だからだ』
うすうす感じていた…
【俺】はこの少年を護るために…ここにいた…
「…でも…」
『…すぐじゃなくても構わない…お前が[力が欲しい]と願った時…【俺】は力になろう』
それまでは…この暗い暖かい場所で眠りに就こう
『…名前を聴かせてくれないか?』
「ぎんじ…あまのぎんじ」
『銀次か…良い名前だ』
そういうと銀次は嬉しそうに微笑む
「ありがとう!お兄ちゃんのお名前は?」
…【俺】の名前…?
『…俺は…』
黙ってしまった【俺】を銀次はきょとんとした顔で観て何かに気付いたらしく俺にしがみつく
『どうした?』
「お兄ちゃんの髪の毛綺麗だね!!」
『…髪?』
「うん!!金髪って言うんだっけ?」
自分の髪など観たことがなかった
『…雷帝…』
「え?」
それは不意に思いついた
『…俺の名前は【雷帝】だ…』
「ら…いてい?」
『あぁ』
「お兄ちゃんにぴったりのお名前だねvV」
銀次はまた微笑むと欠伸をした
『…今はゆっくり眠れ』
「…ん…」
起きたときはなにも覚えていないだろう…
でも覚えていてくれ…
【俺】はいつでも銀次の中にいるから…
END