出荷済み。第1便

□NEVER MIND THE DOG
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昔は、名前なんて無かった。
俺は“犬”であって、それ以上でもそれ以下でもない。
ただの“犬”だった…


「ゾロ〜飯だぞ!」
「ワン!」
あの日から俺には“犬”以外の呼び名がついた。
今の主人に拾ってもらったあの日から、俺は“ゾロ”になった。

「‥ほら、喰えよ。これ嫌いか?」
主人は俺の頭を撫でながら少し不安げに笑う。
「ワンワン!」
この飯は好きだけど主人がご飯まだなのに俺は先に喰えねぇ。

「…お前の言葉、分かりゃいいのにな。」
主人・サンジはそう呟くとテーブルに着いた。
サンジが食べ始めるのを見て俺も喰い始める。
俺が夢中で飯を食っているとサンジと目が合った。

「‥あー分かった!ゾロこっちおいで?一緒にたべよ?」
「ワン!」
サンジは優しく笑いながら俺の食器をサンジの飯の隣に置いてくれた。
「ゾロ?お行儀良くな」
言葉なんか通じなくても心が通じてるから俺は満足してる。
サンジは俺のこと大事にしてくれる。
だから俺もサンジを大事にするって…俺がずっと傍で護るって決めた。

今日は日曜日。
サンジの仕事はお休みで、ずっと俺と遊んでくれる特別な日。
「なぁゾロー!今日はどうする?天気も良いし…公園にでも行こっか!」
「わんわん!」
お決まりのお散歩コースにある公園。
芝生が広がっててサンジと俺が大好きなフリスビーするには打って付け。
俺が物置からフリスビーをくわえて来ると、サンジはニコリと笑い俺の口からフリスビーを受け取った。
「フリスビーなんて久しぶりだな!」

公園でフリスビー数時間。
その後主人の買い物で町中を散歩。
帰る前に駄々を捏ねたら主人がもう一度公園へ連れていってくれた。

「おーい!ゾロー!流石にもう帰るぞー!」
公園の入口で主人が俺を呼ぶ。
俺が走って行くとサンジは嬉しそうに笑い、俺を抱き締めてくれた。
俺はこの笑顔が大好きだ。
俺の大事なサンジからこの笑顔を奪う奴は誰であっても許さない…。

「お、よしよし。今日は沢山遊んだなー!早く帰って飯食って…一緒に風呂入るか!」
「ハッハッ‥ペロッ」
サンジのほっぺにしゃぶりつく。
「Σわゎっ‥そっか嬉しいか!!」
何よりもその笑顔が嬉しい。

「ほれ!喉乾いただろ?いっぱい飲めよ!」
サンジがペットボトルから水を出しながら、俺の頭を撫でる。
「今お湯汲んでるからな〜少し待っててくれな?」
「わん!」
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