出荷済み。第1便

□愛する貴方に花束を。
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昨日、クラスメイトのウソップが入院した。
どうやら階段から落ち全身打撲の上、鼻の骨を折ったらしい。

それなりに仲の良かった俺は、なりゆきで同じクラスのルフィやナミと見舞いに行くことになっちまった。

…めんどい。

その上ナミに差し入れを買って来るよう命じられてた。
まぁ、後から割勘ってことになってるから了承はしたが。
情けない話、俺はあの女に逆らえない。
命の危険を感じる…。

そんなこんなで俺は今、何を買うかを考えながら商店街を彷徨っていた。
やっぱ見舞いっつたら食い物だろ。
別に食事制限がある訳じゃねぇみたいだし。

そんなことを考え俺は商店街をキョロキョロしながら歩いていた。

あ…コロッケ旨そー。

でもさすがにお見舞いにコロッケじゃなぁ…ι

無難に果物とかケーキがいいかな‥。
そう思い一度立ち止まって辺りを見回した。

お!果物屋発見!
店の前に立つといろんな物があって何にすりゃいいのか迷った。
ま、いっか。
葡萄かなんか買っていきゃ、案外豪華に見えんだろ。
一人納得し店主を捜す。
「おっさん!悪いけどそこのブドウと…あと…リンゴ3つくれ!」
店の奥で店番していた虚ろな目のオヤジにそこそこな金額の果物を注文した。

「…ぁいよ。」
店主はかったるそうに腰を上げ表に出てくる。
「あ、そーだ。それ見舞いに持ってくんだけど、なんかに詰めてもらえねーか?」
店のオヤジは俺を一瞥し、「少し高くなるけどいいかい?兄ちゃん。」
と、なにやらそれ用の籠のようなもんを棚から下ろしつつ俺に呟いた。

「あ?あぁ。多少なら別にいいぜ?」
金には余裕あったし今更、『ならいい』なんて言った日にゃあオヤジかキレそうだったので俺は適当な返事をかえした。

詰めるのを待つ間俺は店に並んだ果物に視線を向けた。
お!柿だ…。
やっぱ秋だなー。

そんなことを思いながら今度は上に顔を上げた。

視界に入る空は清々しいほど真っ青で吸い込まれそうな錯覚に陥った。


──バシャ!!

ほのぼのしてた俺の後で何やら水音。
俺は反射的に振り返る。
視界に入る金色。



一目惚れなんて初めてだった‥。

「おい!兄ちゃん。出来たぞ。」
果物屋のオヤジが俺を呼んだ。
「……悪ぃ。それ、いらねーや。」
「あ?何言ってんだ?兄ちゃんが‥…−─」

少し間の抜けたオヤジの声は途中から聞こえなくなっていた。
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