出荷済み。第1便
□めぐりあい
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『俺は、生まれ変わっても…またお前の隣にいられる自信あるぜ?』
事切れる間際、奴は俺にそう告げた。
瀕死だというのに‥
煙草を銜え‥
不敵な笑みを浮かべて。
あの世で逢えるとか‥
サヨナラとか
そんな言葉じゃない。
前向きな台詞。
“生まれ変わっても”
生まれ変わる?
本当に?
輪廻転生。
そんなもんあんのか?
お前は‥姿を変えてもまた俺と巡り逢ってくれるだろうか‥。
俺は‥
こんなに血を浴びた躯でも、またこの世に生まれ落ちることを許されるのだろうか…。
…俺は17歳になった。
県立の高校に通う健全な男子高校生だ。
特技は剣道。
始め興味はなかったのに“天成の素質”とやらがあるんだかないんだか知らないが、近所の道場のジジイが土下座して入ってくれっつーから入ってやった。
今では剣道の世界で俺の名を知らない奴の方が少ないくらいだ。
趣味はない。
そんなもんに時間を割く暇があったら寝ていたい。
愛用品は腹巻。
これは何故だかいくつになっても手放せない。
彼女はいたが、先日別れた。
毎度毎度俺の彼女は、目眩みするくらいの金髪女だ。
女と別れた理由を他人に話すと、必ず馬鹿にされるが、理由は“髪の色”だ。
最初は綺麗な金髪だが何日か経つと根元からその色とは別の髪が覗く。
自毛が金なんて滅多にいるもんじゃなねぇが、それが許せない。
女は俺が金髪としか付き合わないと知っているのか、わざわざ染めてくるらしい。
だが俺が捜しているのは染めた金色じゃなくて‥‥
何か分かんねーけど俺が求めてるものはこんなんじゃねーんだ。
友達は外人フェチだのなんだの言うが、違う。
探してるんだ。
何か‥誰かを。
俺が忘れた“何か”、…その答えを…。
聞こえはカッコイイが単なる我儘かもしれない。
なんせ自分でもよく分かっていない。
自分のしていることが正しくて、何をどう求めているのかすら…
自分でも理解不能だ。
ただ‥俺は本能に従って生きている。
野性の感つーかなんつーかが‥そうさせている。
無意識に金髪に引かれる。
魅せられているのか‥呪われているのか…。
それからは離れられない…。
「ゾロ、回覧板よろしく。」
「‥‥‥今?」
「今。」
学校から帰るなり母に突き付けられたそれを受け取り、今入ってきた扉を開けた。