出荷済み。第1便

□最後に一つだけ。
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「鷹の目に勝つまでは‥云わねぇって決めてた‥やっと‥云えるぜ…はっ
‥サンジ…ずっと‥好きだった‥んだ‥」


ずっと待ち望んだ言葉。

何で今になって言うんだよ


血溜りの中…
ゾロが俺に手を伸ばす。

震える指先。
震える唇。
震える心。


「もぅ喋ンなよ!
‥頼むから‥頼む‥からっ…」

血塗れのその手を力強く握り締める。

「ははっ‥バカ‥。
今云わなきゃいつ云やいーんだよ。」


「この先いつでも‥
何回でも聞いてやる!‥だから‥」

頬を熱いものが流れ落ちる。

「泣いてんのか‥?」

「…お前がっ‥そういうこと言うから‥」

「なぁ‥ソノ返事してくんねーの?お前の気持ち知れない儘なんて‥Σっ!!ゲホッ‥ガハッ!‥はっ…」



口から吹き出す赤は

とても綺麗で

‥逆にゾっとした。

「ゾロぉ!大丈夫かよ‥!ゾロっ‥」


ゾロの瞳が輝を失う。


「俺も‥俺もずっとゾロのこと好きだったんだ!‥なんでもっと早く気持ち云ってくれなかったんだよ!」

涙が‥
止まることを知らない
涙が…


紅いゾロの手を濡らす。


───返事が無い。




「ゾロ?ゾロ!!?」

揺すっても
揺すっても
揺すっても


返事はなく

そこに在るのは

ゾロではなく

ただの‥

冷たいカタマリ。



「‥俺もお前が好きだ…ずっと‥一緒に‥傍に居てぇよ‥。目ぇ覚ませよ‥なぁ…これから幸せにしてくれんだろ‥?俺の気持ち‥ちゃんと聞けよ!なぁゾロ!」


冷たい唇に、口付けした。


『よかった…』


ゾロの声が
聞こえた気がした。



〜fin〜
 

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