復活

□文学少年
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恭弥side


過ごしやすかった秋を越え季節はすっかり冬だ



「寒い」


『さみぃなぁ…もう冬だもんな』



応接室で風紀委員の仕事を片付けて帰宅する道すがら

生憎今日は愛車のバイクは家に置きっぱなし

この寒空の中家に帰ると思うと憂鬱だ



「手の感覚ないよ」



かじかんだ手は感覚がない



『仕方ないから暖めてやるよ』


「ぬくい…」



ニヤニヤしながら僕の手を取る綱吉

ポカポカとする綱吉の手に思わずほっこりする



『俺子ども体温だからなー』


「冬は綱吉の人間カイロがあれば越えれる」



毎年そうやって超えてきたからなぁ

変な所で子ども染みてる綱吉



『俺をカイロにするなよなー、まぁいいけど
おっ!今日は星が綺麗だな』



ふと上を見ると星がいくつか輝いている

よく見ると冬の大三角形も見える



「本当だ、
月も」



その近くに輝く月、

それも綺麗だと思い言葉にしようとしてつまる



『ん?』



不審に思った綱吉は足を止めた



「いや…月…が…その」



これを言えばきっと綱吉はそっちの意味で取るだろう

というか確実にこんなに言い淀んでいたらそう取るに違いない

いや、まぁちょっとはその意味も含めたくて言い淀んでいるんだけども

だってこうストレートに言うのは僕にはかなりハードルの高いことだから少し遠回しにしか言えないし…



『月がどうかしたのか?』



未だに分かっていない綱吉

顔は思い切り困惑顔をしている

もしかして分からないのかもしれない

分かってないのであればサラッと言って自己満足してしまえばいい、そうしよう




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