復活
□あざと可愛い奴め
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やることも仕事も溜まっていなかった綱吉は暇潰しに厳爺の元を訪ねていた
厳爺の家には得体のしれない薬品なんて腐るほどある
その一つを綱吉は手に取った
『なーこれは何の薬?』
「ん?あぁ…それは退行する薬じゃな」
『退行?子どもってこと?』
瓶の中にはピンク色の液体が入っており綱吉は電気の光に当てながら観察していた
「そうじゃな…お主たちくらいの人間が飲めば大体2、3歳くらってとこかのう」
『10年バズーカの子どもバージョンって感じか』
いまいち想像がつかなくて思い付いたのはランボの持つあのバズーカ
「別に入れ替わる訳じゃない
成長の巻き戻しじゃ、
しかも体だけだから頭脳はそのまんま!
どうじゃ、凄いじゃろ?」
まるでどこかの探偵漫画の主人公の様である
『…あぁ、すげぇな
実験はしたのか?』
「マウス実験は成功したがまだ人間で実験したことはない
まだ改良の余地があるからのう…」
厳爺は他の実験中なのか綱吉のことを見ておらずあろうことか背中を向けている
今の綱吉の顔を見たらさぞかし背筋が凍っていたであろう
満面の笑みを浮かべ嬉々として綱吉は瓶のふたを開けた
『俺が実験体になってやるよ』
「これ!!何勝手に…!!…遅かったか」
厳爺が振り向いた時には時すでに遅し、
綱吉の姿は見る見るうちに小さくなっていった
『こぇ、すげぇにゃ(これ、すげぇな)
ありぇ、りょれつまわんにゃい(あれ、呂律回んない)』
視界が低くなったことや口がうまく回らないことや手足が短くなったことなど綱吉は自分で勝手に冷静に見ていた
近くにあった鏡を覗き込んで綱吉はまたしてもいい笑顔をしていた
「あぁ…また勝手に触りおって…!」
厳爺は溜め息を吐きながらどうしたものかと考えているがこうなった綱吉を止める手段など何一つない
『にししし、きょーやにみしちぇやりょー!(恭弥に見せてやろう!)』
綱吉の思い付いたら即行動はまたもや止められず既に走って外にから出ようとしている
綱吉は今着ていた服の上着だけを身に着けている状態
「勝手に飲んだと言えよ、ツナ坊!
ワシを巻き込むんじゃないぞ!!」
『わかっちぇるよー!(分かってるよ!)』
厳爺の責任逃れの声に返事をしながら綱吉は出て行った
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