鳴門

□犬と猿
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暖かい陽気な日の昼下がりのある日のこと


女の叫び声が響いた




「なんで最近拷問がないのよ!?
私は拷問がしたいのよ!!」




物騒なことを叫ぶ女緑の面を付けた女―暗部零所属、緑である




「そんなことをここで愚痴んねぇで貰えますか?
緑様」




そんな緑を呆れた目で見ながら溜め息を吐く男―ゲンマ




「しょうがないでしょ?イビキの奴ここで待ってろっていうんだから
ちょっとくらい愚痴に付き合いなさいよ
同期のよしみでいいでしょ?」




二人のいる場所は暗部の詰所ではなく表の正規部隊の集まる詰所である


緑は拷問班にも所属していて役職は副隊長


上官であるイビキは私用で外していてここで待っているように伝えたようだ


因みに緑の表の顔は元木ノ葉の特別上忍であり医療部隊にも所属していた経歴がある


黒に勧誘され零に移籍して現在に至るという事だ


因みに緑の正体は同期など知っている人間は結構いる

唯一素顔が割れている人間である




「俺は一休みしたかったんスけどね」




緑の正体を知らない者もいない訳ではない


つまり最強と言われている零の緑がいるともなれば畏れて人間は近付かないことがある


というよりヒッソリ眺めている連中が多い




「大体なんでアンタ私に敬語やら敬称付けてる訳?
気持ち悪いんだけど」




面の目の空いた部分から見える目が明らかに馬鹿にしていることをゲンマは気が付いていた


何でこんなに疎いんだろうか、と




「俺だって付けたくて付けてる訳じゃないっスよ
ただ何処で話聞かれてるか分からないからです」




再び大きな溜め息を吐く




「誰に聞かれたらマズイっていうのよ」


「そりゃ零に憧れてる全忍に」


「憧れてる、ねぇ…?
それって黒の事でしょ?私は関係ないわ」


「何?知らないんスか?」


「知らないって何が?」




本当に分かっていないのか緑は首を傾げている


何も憧れの対象は総隊長である黒だけではないのである


零は何かに秀でている人間が多い


黒は圧倒的な力を持っているが故に憧れの的になるが他の零の人間だって陰に隠れてはいるが憧れの的であることに変わりはないのである




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