稲妻

□気付いて?
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今二人はバーンの部屋にいる。

バーンはゲームをしてガゼルはテレビを見て過ごしている。

かれこれ、二時間は過ぎているだろう。

ふとバーンを見ていると


「どうした?」


視線に気が付いたみたいだ。


「別に。何でもない。」


そういってまたテレビを見始めた。

しかし、この会話は何度も繰り返し行われていた。


「今日、お前変だぜ?」


「言いたい事あるなら言えよ。」


「別にないと何度も言っているだろ。」


少しきつめに言いはなった。

怒っているようだ。

しかし、心当たりはない。


「ちょっとこっちこい。」


ソファーの下に座っていたガゼルの手を引いた。

二人向かい合って座っている。


「お前、言いたい事あるんだろ?
ちゃんと言え。聞いてやるから。」


ぷいっと顔を背けた。


「別に。バーンには関係ない。」


「関係ねぇ訳ねぇーだろうが。
俺達付き合ってんだろ?」


「…………。」


ガゼルは口を摘むってうつむいてしまった。

「なぁ。ガゼル…。」


呟いたように呼ぶとさっきまで
下を向いていたガゼルは
勢い良く顔を上げた。


「遅い!!」


その顔、目には涙がうっすら浮かんでいた。


「………は?」


「バーンは、
今日ずーっと私の事を
“お前”“お前”と呼んで……!!」


次第に涙は溢れてしまった。

漸く何が起こったかを理解し、
人差し指でガゼルの涙を拭った。


「なぁ、ガゼル。
名前呼んで欲しかったんだろ?」

ガゼルは無言で頷いた。


「そんな事で泣くな。」


「そんな事だと…?」


勘に障るったのか、
泣きながら怒って部屋を出て行こうとした。


「バーンなんて知らない!!」


しかし、バーンによって腕を掴まれた。


「悪かった。」


そのまま、抱き締められた。


「俺から離れるなよ。」


「バーンにとっては“そんな事”でも私には重要な事なんだよ。」


過去に敵対していた事が
あったためちょっとした事にも
敏感になっていた。


「悪かったって。ごめんな、ガゼル。」


更にギュッと抱き寄せ


「愛してる。」


耳元で囁くと顔を真っ赤に染めたガゼルが


「わっ、私も愛してるぞ///」


と答えた。声を震わせながら。

そして、そのままどちらからと言わず甘い甘い、涙味のキスをした。


小さな、小さな事で幸せになれる。

そんな小さな幸せ大事にしていこう。



END
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