稲妻

□涙味
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「なぁ、鬼道。」

突然豪炎寺が沈黙を破った。


「なんだ。」


内心ドキドキで答えた。


「お前は好きな奴とかいるのか?」


います。今俺の目の前に。

って言いたいが
俺はついさっき勝手に
振られたばかりだ。

そう何度も心を
抉られる思いはしたくない。

だが、ここはとりあえず……。


「何故そんな事を聞くんだ?」


「少し気になっただけだ。」


どうする。

どう答えるべきだ。


「俺は別に…。お前は?」


これが普通の対応だよな。

間違ってないよな。


「いる。
そいつは感情を
あまり出さなくてな。
でも、幸せそうに笑うと
俺まで嬉しくなる。」


穏やかな顔して豪炎寺が話す。


「……………。」


聞きたくない。

そんな顔で言うな。

これ以上喋らないでくれ。


「俺はそいつの事を
サッカーと同じくらい
大切に思っている。」


我慢の限界だ。

豪炎寺がまだ話しているが
気にせず部室を出ようとした。

が、腕を掴まれてしまった。


「最後まで聞いてくれ。」


「離せ!!聞きたくなんかない。」


鬼道は俯いてしまった。
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