稲妻

□暗闇の中で
1ページ/2ページ


暗闇の中見えていたのは
その背中だけ。

だが、次第に背中は遠くなり消えた。

何も見えない、分からない
がむしゃらに走った。

走って、走って
走りまくったが何も見えない。

疲れて足を止めた。

すると何処からか、
罵声と甘い誘惑の声が聞こえた。

「役立たず。足手まとい。
邪魔なだけだ。」


「おいで、力をあげる。
もっと強くなれる。」


最初は両方聞くつもりなんてなかった。

自分を保っている事が出来た。

だが、次第に頭が働かなくなっていった。

「さぁ、おいで。
あの背中に追い付ける。
いや、追い越せる力だ。」


俺はずっとあいつに
追い付きたくて、追い付きたくて
“甘い誘惑の罠”
に嵌まってしまった。

戻れなくなるとは知らずに……。


END
→後書き
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ