稲妻
□暗闇の中で
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暗闇の中見えていたのは
その背中だけ。
だが、次第に背中は遠くなり消えた。
何も見えない、分からない
がむしゃらに走った。
走って、走って
走りまくったが何も見えない。
疲れて足を止めた。
すると何処からか、
罵声と甘い誘惑の声が聞こえた。
「役立たず。足手まとい。
邪魔なだけだ。」
「おいで、力をあげる。
もっと強くなれる。」
最初は両方聞くつもりなんてなかった。
自分を保っている事が出来た。
だが、次第に頭が働かなくなっていった。
「さぁ、おいで。
あの背中に追い付ける。
いや、追い越せる力だ。」
俺はずっとあいつに
追い付きたくて、追い付きたくて
“甘い誘惑の罠”
に嵌まってしまった。
戻れなくなるとは知らずに……。
END
→後書き