稲妻

□夕焼けに君を想う
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「別れよう。」


鬼道は三度目の言葉を放った。

中学卒業の前、高校卒業の前
そして今。

そのたび不動は嫌だと言って二回共鬼道が折れた。

しかし、今日は中々折れなかった。

別に嫌いになった分けではない。

ただ、このままずるずると
関係を続けるのは二人にとって
良くないと思ったからだ。

いつも以上に真剣な話し合いになった。


「分かった。」


こうして別れる事になった。

不動が最後見せた顔は笑顔だった。

今まで見た中で一番綺麗な笑顔だった。

鬼道は不動も理解してくれたと思った。



―――――……



不動side

本当は別れたくなんてなかった。

ずっと側にいたかった。

でも、鬼道は別れを望んでいた。

二回も俺の我儘を聞いてくれたんだ。

だけどもう………。

潮時だと思った。

鬼道に別れを告げて逃げる様に去った。

ハァハァハァハァ………。

独りになりたくて走った。

誰も居ない何処かへ向かって。

雨も降って来た。

古いビルを見つけたので階段を登り屋上へ向かった。

屋上に着くと雨は止んでいて
丁度太陽が沈みかけている所だった。

夕焼けは綺麗だった。
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