稲妻
□甘えたい年頃
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「こんちはー、お迎えに来ました。」
ダダダダダッ
「にぃーちゃぁぁー!!」
俺には年少の弟の明王がいて、十歳も違う。
「うわ!明王、走って来たら危ないだろ。」
「ごめんしゃい……。」
少し注意するとしょんぼりした。
「明王くん、お兄さんが来るの楽しみにしてたんですよ。」
「!!せんしぇーいっちゃめ!!」
クスクスッ
「ごめん、ごめん。」
風丸先生は明王を撫でていていた。
相変わらず表情がコロコロ変わる奴だ。
先生は良く明王を見てくれている優しい人だ。
「そうだったのか。
明王、帽子と鞄持ってきな?」
「はぁーい!!」
スタスタスタッ
「明王はどうですか?」
「最近はクラスの子達にも馴染んで来ました。」
生まれつき目がつり目で人見知りが激しかったため
中々友達が出来なかったみたいだ。
「にぃちゃ、かえる?」
いつの間にか帰る準備を整えていた。
「せんしぇい、さよーなら!!」
「はい、また明日ね。」
小さな手を一生懸命振っている。