銀魂ショートストーリー
□愛は真心、恋は下心
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「土方さんじゃねえですかい。なんでえ、こんなところで。」
「だからそれはこっちのセリフだっつの!!!つーかてめー、最近その女にチョッカイ出してるみてえだけど、限度があるだろーよ。」
そう言って呆れたようにして一つ溜め息をついた土方は、沖田の下で倒れている神楽をぐいっと引っ張りあげた。
沖田はストンと地べたに座り、睨むように土方を見上げる。
「土方さんには関係ねえでさぁ。それより、その手、さっさと離してくだせえ。」
「あ?…あぁ、」
土方は神楽の腕から手を離し、沖田を見下ろす。
(なにアル…。この空気…。とても居心地悪いネ。私ただ酢こんぶ買いにきただけアルよ。)
「とにかく総悟。一応勤務中なんだから……っておい!総悟!!」
沖田は神楽の手を握り、駄菓子屋を出てひたすらに走った。
「な、なにアル!?私、ほんとに酢こんぶ買いにきただけアルよ!」
「いいから走れ!」
神楽はモヤモヤした思いを抱えたまま、沖田に引っ張られながら走った。
(コイツ疫病神アル…。)
「さすがに土方さんもここまでは着いて来ないだろい。チャイナ、疲れたか?」
「私が疲れるタマに見えるカ?」
「いーや。」
住宅街が広がる路地裏で二人。
沖田が微笑み、つられて神楽も笑みを見せた。
(ハッ…。だめアル。コイツただのサディスティック疫病神ネ。ペースに飲まれちゃコイツの思うツボアル。)
「私、帰る。門限過ぎちゃうと銀ちゃんに叱られるネ。」
「旦那が過保護なワケねえでさぁ。チャイナはここにいろよ。」
「お前な、女の子誘うんだったらもっと良い場所選べアルよ!普通、路地裏に誘う男いないアル!」
「俺、ノーマルじゃねえもん。」
「ノーマルとかそーゆーの聞いてないネ!アホかお前!」