銀魂ショートストーリー
□星つなぎ
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「おっ!結構新しい旅館じゃねえか。」
「カニ食えるアルか?ホタテも食えるアルか?」
「夕食のときにでるんじゃないかなぁ。」
「まじでか♪♪」
遠くから遥々やって来た甲斐もあり、よろず屋三人はうきうきな気分で旅館に足を踏み入れた。
しかしそんなうきうきな気分も束の間、旅館内はこじんまりとしていて品に溢れていたため、三人は微妙に緊張感を感じていた。
「ではごゆっくりおくつろぎ下さい。」
女将さんが部屋の襖を閉めたとき、ようやく三人は肩の荷を下ろしたように息を吐いた。
「なにアルかっ…!商店街のガラポンクオリティじゃないアル…!!」
「うわ、おい。この部屋まじで三人部屋?プチスイートルームじゃねーか。」
「無料でこんな部屋泊まれるなんて凄いですよ。温泉、もう入っちゃいます?」
「おー。ザーッと入ろうぜー。」
三人はとりあえず浴衣に着替えてから、部屋を出た。
落ち着いた雰囲気の廊下をキョロキョロしながら三人は温泉へと向かう。
が、男湯と女湯で分かれるところで神楽はピタリと立ち止まった。
「?どうしたの、神楽ちゃん。」
「……。」
神楽は唇を尖らせて、新八の浴衣の裾をギュッと握った。
「私、一人アル。」
「…え?」
神楽は首を傾げる新八をキッと睨み、今度は新八の腕をギュッと握った。
「だから私一人アル言うてるネ!!嫌アル!そんな寂しいの嫌アル!!」
「おいおい…。神楽ちゃん何歳でちゅかー?一人で風呂も入れないんですかー、コノヤロー。」
「うるさいネ!!じゃあ銀ちゃんは一人で入ってきてヨ!新八ならギリ、女の子としてイケるネ!」
「ちょちょちょ待ってよ神楽ちゃん、いくら何でもそれは無理!!」
「あれ…。銀ちゃん、あの真ん中の入り口何アルか?」
「あー?混浴だろーが、混浴………」
銀時は自分の言った言葉に、ハッと口を押さえた。
しかし時既に遅し。
空気の読めない新八が、神楽に混浴の説明をしてしまっていた。
「おーっ!!超画期的アル!!銀ちゃん♪一緒に入ろ?」
嬉しそうに笑う神楽に、銀時は顔に手を当てて深く溜め息をつく。
「…今日だけな。今日だけ。」
「銀ちゃん!!!」
「あー、もー、くっつくな。」