銀魂ショートストーリー
□雨、ときどき
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雨空が続く今日この頃。
仕事のないよろず屋一同は、いつものようにダラダラと家で過ごしていた。
「雨、止みませんねえ…。洗濯物も乾かないし参っちゃいますよ。」
「…無理アル……。こんなの…無理アル…!絶対に無理アル…!」
雨の音が激しく響く中、神楽はテレビをかじりつくようにして見つめて、ブツブツと呟く。
そんな神楽を、銀時はチラリとジャンプ越しに見て、再びジャンプに目をやった。
「どうしたの?神楽ちゃん。ニュースで何か言ってた?」
新八は湿った洗濯物片手にテレビを見ながら怯える神楽を覗いた。
そして瞬間、けたたましい雷鳴がまぶしい閃光と共に響き渡った。
「ぎゃぁぁぁああっ!!!!!」
「うわぁっ…!神楽ちゃん、叫びすぎだよっ!こっちがビックリするよ!…って、神楽ちゃん?」
神楽はガクガクと震えて、何故かテーブルの上にあった酢こんぶの更に隣にあった黒ボールペンを掴み、ポケットに入れた。
「無理アル…!絶対回避なんて出来るハズないネ…!死んじゃうよ、私…!死ぬのは嫌アルー!!」
「あっ…神楽ちゃん!!こんな雨の中外に出たら…!」
神楽は傘も持たずに、どしゃ降りの雨の中へ出ていった。
そして、全速力で走った。
(無理アル…。この雨雲が私の上に存在する限り、この雷を回避するなんて絶対不可能アル…っ!)
神楽はテレビでやっていた雷に関したニュースを見て、全てを鵜呑みにしてこのような思考に陥ってしまった。
もはやこの神楽を止める人間など居ない。
「傘も無理…、電気があるとこも無理…、木の下も無理…!!私…、一体どうしたら…!」
走りまくったびしょ濡れの神楽は、殺風景な街の殺風景なビルの前でふと立ち止まった。
ビルの入口の手前には、地下へと続く階段が一つ。
神楽はパァッと花がさいたような笑みを見せ、嬉しそうに階段を駆け下りた。