銀魂ショートストーリー
□雫かくれんぼ
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「えー、俺が鬼かよー!」
「100秒数えろヨー!隠れるアルー♪♪」
ある日の公園。
神楽は公園で近所の子供たちと遊んでいた。
今日の遊びはかくれんぼ。
隠れる範囲は町内どこでも、という広範囲に及ぶ大規模なかくれんぼが、神楽と子供たちの最近の流行りであった。
「ニシシ…♪前から見つけてた穴場アル…。絶対誰にも見つけられないネ…♪」
神楽は川に浮かぶ少し豪華な低い船に飛び乗り、木箱が積まされたところに身を潜めた。
ぽちゃん、と水音が静かに響き、神楽の心を潤わせる。
涼しいし、風は気持ちいいし、神楽にとって絶好の隠れ場所であった。
一分ほど経った頃、バタバタと足音が船の外から響き、神楽は身を屈めて体育座りをした。
「もういいかーい!!!」
「くっそぉ…!神楽の奴、いっつも隠れるの上手いからムカツクぜ!今度こそ絶対見つけるぞ!」
「あっち探してみよう!」
足音は反対方向を向いて遠退いていった。
神楽はフゥ、と安堵の溜め息を漏らした。
「もう、一人見つかったアルか…。」
不安そうにそう呟くと、向こうの扉の奧から物音が響いた。
まずい、と思った神楽が船から降りようとしたときにはもう遅く。
船は緩やかな流れの川を、静かに走っていった。