銀魂ショートストーリー
□恋味みるく
1ページ/6ページ
「おい。どんな風の吹きまわしアルか。お前にはデリカシーのデの字もねえっつーのか!」
よろず屋銀ちゃんの扉の前。
日射しも強くなってきた春の頃、陽気な天気とは裏腹に、苛々のこもった声が響いた。
そこにいるのは神楽と、何故かよろず屋に来た沖田。
そして神楽の腹をたてる理由も沖田がよろず屋に来た理由も、沖田の手に握られているそれが示していた。
「仕事中に通りかかったからちょっと来ただけでさぁ。ほら、ついでにプレゼント。受け取れよバカチャイナ。」
「何がプレゼントネ!!これどう見ても嫌がらせだろ!!」
沖田の手に握られていたのはコンビニのレジ袋。
その中には牛乳と、カルシウムたっぷりぐんぐんヨーグルトと靴の底にいれるパットが入ってあった。
要は、身長が高くなりますグッズである。
神楽は沖田をギンッと思い切り睨み付ける。
「何が言いたいネ…。低い言いたいアルか…。背、低い言いたいアルか…っ!」
「まあ、それもあるけど。」
神楽を見下ろしながらしれっと言う沖田に、神楽は力強くアッパーを食らわした。
沖田はその痛さにしゃがみこみ、涙目になりながら自分の顎をさする。
そして眉をひそめて神楽を見上げた。
「何すんでい…。自分の力、何馬力だと思ってんだ。」
「言っとくけど私、年相応の身長アル。お前こそ大して背、高くねークセに私の背にいちゃもんつけんじゃねーぞ。チビ。」
「だから何で勝手に話進めてんだ…。お前が俺と同じくらいの背だったらって、ちょっと思っただけだろい。」
いてて…、と言いながら立ち上がる沖田を神楽はチラリと見る。
そして沖田の手からレジ袋を奪い、ガラリと玄関の戸を開いた。
「…そんなの、バカ兄貴と並べば済む話ネ。この牛乳たちは勿体無いし貰うぞー。じゃーなー。」
そう言って、ピシャンと戸を閉めて神楽は中へと戻った。
(……背、低いから何だっていうアルか。ウザいアル…。チビのクセに…。)
むすっと唇を尖らせて、神楽はしゃがみこんだ。
(……バカサド…。)