銀魂ショートストーリー
□クビアト恋心
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曇り空のある朝のことだった。
「銀さんっ!!起きてください!!」
よろず屋に冷たく湿った朝の風が通る。
銀時はその響く声と寒気に、唸りながら目を覚ました。
そして、二日酔いの頭と霞む視界の先には、青い顔の新八がいる。
銀時は気だるそうに体を起こした。
「…なんでこんなさみーの?」
うー、さぶ。と呑気に体をさすりながら新八に問う。
しかし新八は俯き、ぎゅっと両手に拳を握り締めた。
「…た……多分……、」
震えた新八の声に銀時は勢いよく立ち上がり、寝室を出た。
「なんだ…?」
銀時が目にしたものは、割られた事務所の窓だった。
でも、だから寒いわけだ、とは言えなかった。
割られた窓ガラスの破片や割れたところには、赤い血がついていたのだ。
「新八、神楽は?」
寝室の方へ振り返り、正座したまま俯く新八にそう尋ねる。
新八はその問いには答えずに、ただぎゅっと拳を握り締めていた。