銀魂ショートストーリー

□クビアト恋心
1ページ/14ページ







曇り空のある朝のことだった。





「銀さんっ!!起きてください!!」




よろず屋に冷たく湿った朝の風が通る。

銀時はその響く声と寒気に、唸りながら目を覚ました。


そして、二日酔いの頭と霞む視界の先には、青い顔の新八がいる。


銀時は気だるそうに体を起こした。




「…なんでこんなさみーの?」





うー、さぶ。と呑気に体をさすりながら新八に問う。

しかし新八は俯き、ぎゅっと両手に拳を握り締めた。




「…た……多分……、」




震えた新八の声に銀時は勢いよく立ち上がり、寝室を出た。





「なんだ…?」




銀時が目にしたものは、割られた事務所の窓だった。


でも、だから寒いわけだ、とは言えなかった。


割られた窓ガラスの破片や割れたところには、赤い血がついていたのだ。




「新八、神楽は?」




寝室の方へ振り返り、正座したまま俯く新八にそう尋ねる。



新八はその問いには答えずに、ただぎゅっと拳を握り締めていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ