銀魂ショートストーリー
□君色リング
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『待ちやがれ、この不法入国女。』
『っお、お前…!なんで、ここに…─。』
あの日から二年。
あの時とは違う、長くしなやかな髪、女性らしい体、少し大人びた表情で、彼女は住んでいたまちへと軽快に歩を進めていた。
町中の人々はその可憐な姿を思わず見返す。
「かっ…!かっ、かっ、神楽っ…ちゃんっ…!?」
そんな折、ドサッと買い物袋が落ちる音と、動揺した声が彼女の背後に響いた。
彼女は長い髪の毛を風に舞わせてゆっくりと振り向く。
「うおおおー!!新八ぃ!!お久しぶりアル!全然変わんないアルなお前!」
そう、2年の月日を経てすっかりと大人に成長した神楽はこの歌舞伎町に今日再び帰ってきたのである。
そしてそんな神楽を今初めて目の当たりにした新八は驚きを隠せず、神楽の姿をじろじろと見た。
「や、やっぱ神楽ちゃん…!!?信じられないんですけど…この2年で一体何があったの!?」
「別に何もないネ。たらたらエイリアンぶっ倒してたまに金もらったりしてよろず屋にいたときよりはイイもん食ってただけアル。」
「もしかしてそのイイもんのせいなのか…?そのヒロインみたいな体…そんなの、そんなの神楽ちゃんじゃ…げはっ!!」
デリカシーのない発言に神楽の鋭いキックが新八の顔に当たる。
何アルか全く!とプンプン怒りながらも新八が落としたレジ袋の中身を拾う。
「あ。これ……」
神楽が手を伸ばした先にあったのは、江戸に住んでいた頃大好物だった酢昆布であった。
今日帰ってくるとは伝えてなかったはずなのだが、偶然なのだろうか。
神楽はなんだか胸が熱くなり、そっと微笑んで酢昆布に手を伸ばした。
トン、と触れたのは酢昆布の箱ではなく、筋張った手。
「久しぶりだな。チャイナ。」