蜜柑小説
□うさぎの嫉妬
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「銀ちゃん…。私、女の子っぽいアルか?」
「いーや、全然。」
ついこの前までは別に女の子だとか男だとかそんなこと考えたことなかった。
変に女の子とかひいきされるなら、こんな感じの方が居心地も良い。
だけど。
「あのね銀ちゃん。」
「なんだよ。」
ソファでジャンプを読む銀ちゃんの前にしゃがみ、銀ちゃんの足を抱き締める。
銀ちゃんはちょっとウザめな顔でこっちを見た。
「あのバカこんちくしょうサド野郎がね、」
「うん沖田くんね。どーしたんだよ。」
「彼女出来たアル。」
ばさばさ、とソファからジャンプが落ちた。
目線を上にあげると、銀ちゃんの目がいつも以上に死んでいた。
まあ、気持ちは、同じアル。
「おい、銀ちゃん。」
「お?あぁ、なんだ神楽か。」
「大丈夫?」
「お前こそ。」
くしゃ、って私の頭を触り、銀ちゃんは私を抱き上げ自分の膝に乗せた。
これ以上髪真っ白になったらどうしよう、なんて思いながら、銀ちゃんの目は見ないでそのふわふわの髪の毛をぼんやり見つめた。
「……で?どこの女だよ。」
「…知らないヨ。まあ、ごっさ美人さんだったネ。」
「ふうん。やるねー沖田くん。」
ちょっとニヤリと笑って私を見たので、銀ちゃんをバシバシと叩いた。
いでっ、いでっ、って銀ちゃんが言う。
……ムカー…。
「っうお、」
叩いてるうちに、なんかなんか喉の奥が熱くなってきたので、ぼすん、と銀ちゃんの胸に埋まった。
あったかいアル。
全くマダオのくせに……、
…あったかいアル。
「神楽。」
「…………」
呼ばれた瞬間、胸がドクンと跳ねて、一気にじわぁと涙が滲んだ。
こんなふうになる予定は、一切なくって、
バカサドの奴なんかに、いちいちムカついたり、怒ったり、
悲しくなったり、
泣きたくなったり、
「……するハズじゃ……なかったのヨ……っ…」
ボロボロ涙が、あのバカサドのせいで出てくる。
悔しい、悲しい。
銀ちゃんは、よしよしって私の背中を撫でた。
「やられたら?」
「……三倍返し…。」
涙が落ち着いた頃、銀ちゃんはそう言った。
そのときはよく意味が分かんなかったけど、あとからその言葉が気になって、銀ちゃんに聞いたら。
じゃあ行ってくるな、って笑ってどっかに行った。