銀魂ショートストーリー
□傘ひとつ
2ページ/6ページ
「お前に関係ないネ。つか、お前こそ雨ん中、何団子食ってるネ?」
「まあ、いいじゃん。ほれ、チャイナも食えば。」
沖田はポンポンと、椅子の隣を叩き、神楽に座るよう促す。
ググー、と思い切りお腹を鳴らした神楽は仕方なく沖田の隣に座った。
(べ、別に団子につられたワケじゃないアル。コイツが寂しそうに一人で団子食ってたからで…。)
「ほい。みたらし。」
「む…。し、仕方なく食べてやるとしよう。」
神楽はそう言って、沖田から受け取った団子を一気に頬張った。
団子を腹に入れたあと、神楽はハッとした。
(腹減ってつい食べてしまったが、どういうつもりか、コイツ…っ。まさか利子つきで団子代むしりとられるんじゃ…)
「ふっ…。残念アル。私にむしりとるほどのモンは無いヨ。完全にお前の計算ミスアル!」
「あ?」
(くっ……、サド顔め…。)
神楽はぎゅっと両手に拳を握った。
一方沖田は神楽の発言について考えながら、眉をひそめた。
「つか…、なんで傘さしてなかったんだ…?」
意外な沖田の言葉に、神楽は拳の力を緩めた。
「雨…、嫌いじゃないネ…。冷たくて気持ちい…へくしゅっ」
「アホだな、チビチャイナ。」
「うるざい……。」
ズビビ、と鼻を鳴らす神楽は、酢こんぶを取り出してポリポリと食べた。
(なんネ、コイツ…。バズーカもなんも出してこないし、大人しいアル…。気色悪いネ…。)
「……!」
不意に、神楽の肩に暖かいものが触れた。
「俺は雨なんか嫌いでねぇ。さっき雨で濡れて、着るの気持ち悪いし。」
(……上着…?)
神楽は俯いて、再び拳を握り締めた。
(こっちだって…、こんなお前の上着……、気持ち悪いネ……。)