銀魂ショートストーリー
□桃色日和
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「ふがっ…!?」
神楽はガバッと起き上がり、目を覚ました。
沖田は自分で起こしたのにも関わらず、あーあと、溜め息をついていた。
「危なかったネ…。サドにやられるところだったアル…。」
神楽はフー、と一息ついて、何故か沖田の手を握った。
(……なんだコイツ…。誘ってんのですかい…?)
「せっかく気持ちいお昼寝出来たというのに、夢の中まで荒らしにくるネ!敵アル。ね?さだはる?」
神楽はそう言って、沖田の方を見た。
無論、さだはるはここには居ない。
「さだはるって誰ですかい?」
「お、お前!何しとるネ!」
神楽は完全に目が覚めたのか、目を見開いて口をパクパクと開けて沖田を指さした。
「何って……。なんだろう……。」
「こっちが聞いとるネ!私の昼寝までも邪魔しに来たアルか!」
「怒ってるわりに、手は離さないんだ。」
沖田がニヤリと笑うと、神楽は自分の手が沖田の手を握ってることに気付いた。
そして一気に顔を真っ赤にさせ、その手を思いっきり振りほどいた。
「おお、お前がさだはるの真似するからアル!」
「つかさだはるって誰。」
「私の大事な家族ネ。」
「あっそ。」
沖田は神楽の隣にゴロンと寝転がり、無意識に安堵していた。
(…さだはる、家族でよかった…。どこぞの男だったら斬り落とすところでえ。)
「うげ、…口んなかに入っちまった。」
「ぷぷ。ダサいアルねー♪お前なんぞ、桜の木の下で寝るのは100年早い…んぐ、」
「おめーも口んなか入ってんじゃねーか。」
「う、うるさいヨ!細かいこと気にしてお前、それでも男カ。」
「男だけど…。」
沖田は腕を伸ばし、神楽の前髪に触れた。
「桜の花びら…、ついてる。」
「む…。あ、ありが……と…う」
沖田はふとひらめき、心の中で黒い笑みを浮かべた。