銀魂ショートストーリー
□坂田家の日曜日
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「へへー♪銀、ちゃーん!」
神楽は先ほどまでの膨れっ面を思わせないような笑顔で、銀時の胸にボフッと抱きついた。
銀時は神楽を見下ろしながら、短く溜め息をつく。
「幼児返りでも流行ってんのか?」
「今日だけ赤ちゃんに戻るネ!銀ママ、ミルク♪」
「チーママみてーに言うなよ。」
銀時は神楽の頭をポンポンと叩いて、よっこらしょと、ゆっくり立ち上がった。
「あー、あったあった。」
冷蔵庫を覗いてそう言い、二つのパックを持って再び銀時はソファに座った。
「ん。」
「…ミルク。いちごミルクアル…。いいの銀ちゃん?」
「おいおい。別に俺だってそこまでケチ臭くねーよ。赤ちゃんは黙って飲んどけ。」
「………。」
神楽は黙ったまま、プスリといちごミルクにストローを差した。
銀時もストローを差し、チューチューと飲み始める。
神楽はいちごミルクと銀時を交互に見て、ストローをパクリと口に入れた。
「♪」
「……。」
コテン、と銀時の肩に頭を乗せ、神楽はご機嫌にいちごミルクを啜った。
「銀ちゃーん。」
「…あー?」
「おいしーねー。」
「…当たり前だろーが。」
「ふへへ。」
楽しそうに笑う神楽の手が、不意に温かいものに包まれた。
神楽は銀時を見たが、銀時は素知らぬ顔でいちごミルクをチューチューと吸っていた。
「……♪」
大きな手がぎゅうっと神楽の手を握る。
いちごミルクは、神楽の体に甘いものを残した。