銀魂ショートストーリー

□青い三日月 
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「ん………。」




神楽は横を数秒間見つめて、また天井を見てハハハと笑った。




「な…なんだよー。やっぱ夢かよー。だってありえないネ。そんなまさかが起こりうるわけないアル。」


「いってえ……。」


「………。」




神楽は天井を見たまま、その声に聞き覚えがありすぎて、(聞き覚えも何もついさっき本人そのものを見たのだが)、再度横を見て確かめた。




「……なんでお前がいるアルか…。」




何の因果か、そこにいたのは沖田総悟であった。

沖田は頭を抑えて眠たそうに目を擦る。

神楽は沖田を見て、声をなくし、呆然と口を開いたまま。




「…ん?………あー……。ただの幻覚か……。」


「おい、幻覚じゃないアル。私もそう信じたかったけど幻覚じゃないアル。」


「うぜー幻覚だなあ…。もう少し寝かせてくれよ…。おやすみ…。」


「おい、ちょっと待てよテメー。幻覚じゃない言ってるアル。」




神楽の言葉を無視し、沖田は閉じた瞳をパチリと開け、ジャラジャラと音を鳴らしながら神楽に近付いた。




「幻覚だか何だか知らねえが…。アイツの形してんなら何でもいいでさぁ…。」


「うぁっ…!?」




沖田はそう言って神楽を抱き締め、再び目を閉じた。

間もなくして、スースーと気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。




「…何勝手に…」


「…………」


「人抱き枕にして寝てんじゃーいっ!!!」




神楽は繋がれていない方の足で沖田を蹴り飛ばした。

沖田は右足を繋がれているようで、鎖の限界まで吹っ飛ばされた。




「っ…てえ…。」


「つか、なんぼ言ったら幻覚じゃないって分かるアルかお前は。」


「あ…?チャイナか…、おめえ…?」


「だから初めからそう言ってるネ。」


「つーかなんでえ…?この鎖とこの部屋…。」


「おい、お前ちゃんと分かってるアルか?私、本物だぞ?分かってるアルか?」


「あー?本物だろーが、何言ってんのお前。それとも偽物なのかよ。」


「…うざいアル…。あんだけ幻覚呼ばわりしといて心底うざいアル…。」
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