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□少しは努力もしてるんです
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テニス部の合同練習の手伝いをすることになった日の放課後


約束通り、跡部景吾はプリントを持ってきた


忍足くんのは1枚だったのに対し、あたしのは日程やら何やら、スッゴく細かく書かれてて、しかも束になっていた


ふぅーん…意外と多いんだ


氷帝のテニス部は強豪みたいだから(さっき調べた)練習が厳しくても、頷ける


合同練習の相手である青学も、かなり強い学校らしいし


ま、こんぐらいなら丸暗記して見せるけどね


まず細かい時間配分はしっかり覚えなきゃ





「あ、なんやりんごちゃん、跡部にプリント貰たんか?」





あたしがプリントに目を通しているとき、忍足くんが知らぬ間に現れた


正直びっくりするから、いきなり近寄るのはやめて欲しい…





「うん、ついさっき跡部景吾が
…マネージャーって意外と大変なのね」


「そーやな、ほな1つアドバイスしたる
大切なんは笑顔と優しさや
仮マネージャー、完璧にやるんやろ?」


「勿論よ」





忍足くんは、笑顔でそう言うと、バックを持って去ってしまった


きっと今から部活なのだろう


…笑顔と優しさ、か


完璧にこなすためなら、いつもより笑顔も優しさも100倍増しにしてやるんだから


あたしが優しいなんて、いつものことだけどね


笑顔はちょっと、なぁ…


って、あたしらしくない!





「よっし!完璧にやって、跡部景吾をぎゃふんと言わせてやるんだからっ!」





こうしてあたしは1人で気合いを入れ、プリントを掴んで教室を出た


まずは本屋に行って、テニスの詳しいルールブックとか、マネージャーに関する本を買って…


沢山買ったら車を呼ぼうかな


ぶとうにも仮マネージャーやることになったって話したいし…


あぁ、授業の予習と復習もしなきゃ


ピアノも練習したいし…


なんだか忙しいわね


けど何でだろ、ワクワクするって言うか…ドキドキする…


こんなの今までになかった





「なんだろ…これって、楽しい…のかしら…?」





いつもより機嫌の良いあたしは、無意識のうちに笑顔になっていた











→つづく



20110615:りと



 

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