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□D
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榛名が少し腕の力を緩める。左手で俺の顎を掴み、目線を合わせられる。
いつもの榛名の顔で、いつもの無表情だった。

「俺のこと好きだろ?俺がお前のこと好きだから、お前も俺のこと好きになれ」

何その俺様理論。でも榛名らしいかも。
ん?榛名が俺のことを好き?

考えてる間に、ゆっくり榛名が顔を近づけてきた。


(あ、キスされる)

反射的に、目をぎゅっとつむってしまった。
ゆるりと唇が重ねられる。
ちゅっと音を立てて繰り返されるキスに、力が抜けていく。
次に、榛名の舌が唇割って入ってきた。
(何、コレ?!)

榛名が突然で縮こまった俺の舌を捕まえて、絡める。
根本からきつく吸われて、甘い痺れが身体を巡る。

(やばい、気持ちいいかも)

「んっ、榛名…」

好き勝手に口の中を榛名の舌が動く。
上顎の敏感な部分に舌を這わされ、思わず声が上がった。

ちゅく、と音がしてまた舌が絡められる。角度を変えて、より深く。
軽く舌を噛まれて、ゆっくり唇が放される。唾液が糸を引いてプツリと切れた。
(うわ、なんか…)


気恥ずかしさと酸欠とで赤くなってるであろう顔を見られたくなくて、榛名の胸に顔を埋めた。


「秋丸。さっさと俺んこと好きって言えよ」


もう、何で榛名はそんな偉そうなの。
何故に命令口調?

もういいや、降参。
榛名のこと好きなのは事実だ。

ずっと一緒だったんだ。嫌いになれるわけがない。
現に、今もこの状況で榛名のことを嫌いだとかちっとも思わない。


「榛名、好きだよ」

顔を少しだけ上げて、榛名の顔を見た。

俺の言葉に榛名が、嬉しくて仕方ないって顔で笑う。
子供の時以来だ。そんな笑顔。


その笑顔を見て、榛名の腕の中にいて、何か幸せだと思ってしまった。


それでも拒めなくて…結果として幸福


end.
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