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□D
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初めて花井と二人で出掛ける。
ただの備品の買い出しだけど、すっごい楽しみ!

鼻唄交じりに歩く。

花井ん家に到着ー。
花井ん家の方が街に近いので、待ち合わせは花井の家にした。

『花井ー俺ー』

エントランスで花井家の部屋番号を押す。花井はすぐ降りる、と言ったのでそのまま待つことにした。
(早く来ないかなー)
お、来た!


「はないー!」
「悪い、家まで来てもらって…」

あれ?花井の格好… 思わずジーっと見つめる。


腰履きのジーンズ、清潔そうな白の七分丈のラグランシャツ。黒のニット帽に、いつもの眼鏡。
腕には普段は付けてない、シルバーのブレス。

(やば、いい!ラフな格好なんだけど、鎖骨が、腰の細さが、よくわかる)


「田島?」
「いや、花井格好いいなーって」
(わゎ、見過ぎた)


「おだてても何も出ねーぞ」

花井が照れくさそうに、右手で首の後ろを掻く。

「まじだって!スゲーいい!」

俺が力説するのを見て、花井がまた照れくさそうに笑う。

「そっか、良かった。妹達が、好きな子とデートなら、ちゃんとしてけってうるさくて」

花井がさらりと言うので、一瞬聞き流しそうになった。

スキナコト、デートナラ


「え?」


自分の発言に気づいた花井がしまった、と口を抑えた。顔が、みるみる赤くなっていく。

「いや、今のなし!なしだから!何でもないから、気にすんな!」

真っ赤な顔で、わぁわぁ花井が喚く。

(もしかして、好きな子って、俺?)
むくむくと嬉しい気持ちが込み上げる。
ここで、決めなきゃ男じゃないっしょ!

「花井、俺さ昨日あんまり寝れなかったんだ。俺寝付きいーから、そんなん初めてだった。なんでだと、思う?」

普通に会話を始めた俺を見て、花井は少しほっとしたみたいだ。

「へ、へー。な、なんで?」

「好きな子と出掛けるのが、楽しみ過ぎて」

「へ?」

「さ、花井、行こう!俺らの初デートだよ!」

ニカッと笑って、花井に手を差し出す。
花井はポカンとしていたけど、構わず手を取る。


「花井、好きだよ」
「お、おれも…」

とても小さな声で、花井が言う。
聞き逃すわけ、ない。


そのまま、花井の手を引いて歩き出す。
本当は抱き締めたかったけど、それよりもっと手を繋いでたいって思った。

この恋は、始まったばかりだ。
時間は、まだいっぱいある



ようやくこの日が


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