BASARA
□またいつか
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「今でも、ずっと、親が好き」
駆け寄った時には既に政宗は大量の血を流し、瀕死になっていた。
「しっかりしろ!すぐ右目が来るから!」
痛いだろうに
苦しいだろうに
なのに、笑ってる
「戦場で死ぬのは当たり前だ…でも」
赤いぬるりとした右手が、俺の頬を濡らす。
「でも、俺…冷たい地の上で死にたくない」
笑みは消えた
雨は降っていない
こぼれる雫
流れ地をに染みる
「親の中でも…死にたい」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ、お断りだ」
そっと政宗の唇に自分の唇を当てた。
「……政宗?」
動かない静かな時
頬にあった手は、だらりと垂れ下がっていた。
まるで嬉しそうに、瞳を閉じている政宗。
「政宗…?…政宗、政宗!」
壊さぬよう、しかし思い切り抱き締めた。
暖かな、春の事だった。
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