薄桜鬼長夢

□第1話
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その時、ひとり残った浪士が白い髪の男へと大刀を繰り出し、抜き胴で斬りつけた
普通なら立っていることも出来ないはずだが……

「ひ、ひひひ………」

白い髪の男は笑い声をあげながら浪士に近寄った
大して苦痛を感じているようにも見えない

『(化け物かよ…)』

裄斗は心の中でそう思った

「ひゃはははははっ!」

狂気の笑い声をたてながら、男は浪士を斬り捨てる
その断末魔に千鶴が思わず耳を塞いだとき、

千「(っ!?)」

最悪なことに千鶴と白い髪の男と目があってしまった

千「あ…ああ…!」

逃げようとするが、千鶴は恐怖のあまり動けないでいた
裄斗はそんな千鶴を庇うように抱き直し、顔は男達を睨みつけている
男は刀についた血をぺろりと舐め、笑い声をあげながら上段に構える――

『(ここまでか…)』

裄斗はせめて千鶴だけでも守ろうと強く抱きしめ、その時を待った…
そして、2人の耳には肉を絶つ鈍い音が聞こえた
裄斗は自分になにもないのが不思議で顔を上げ、千鶴はわけがわからず顔を上げた

そこには2人を襲いかかろうとしていた男の左胴から刃の切っ先が突き出ている
背後から心の臓をひと突きにされたようだ
刀か引き抜かれると同時に白い髪の男は絶命し倒れた

その時――

「あ―あ、残念だな……」

辻からひとりの若者が姿を現した…
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