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□ポッキーはないから
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ガタガタッ

「んがっ」



試合中に転ぶ夢を見た。
あーあ、4−0で勝ってたのになぁ。



クスクスと聞こえるクラスの声は無視して、目を擦りながら上を見れば、もう昼休みの時間だった。




ゆっくりと立ち上がって、俺が起きて一番に声を掛けるある席へと向かう。


「ゆうー」



席が近いゆうとご飯食べようかなーって思って話しかけてみれば、




「も!むごー、もっもまっめめ」



(あ!ジロー、ちょっと待ってて)



ゆうは友達とポッキーゲームをしてた。待っててって言われた俺は、ゆうの隣に座って終わるまで見てた。

あ、まつ毛長い。


キスするんじゃないかってくらいの勢いで、女子同士だったけど見てるこっちがドキドキした。



ゆうがと言うよりは、友達が速いかな。




「んー!」

「はい、ゆうの負けー」



友達は楽しそうに笑った。あと少しのとこでゆうはポッキーを折って負けた。





「そういえば罰ゲームって何するのー?」


まだ寝ぼけてる俺は、だるい口調で問いかけた。



「んーと、仲良い男子とポッキーゲーム…だよね?」


「うんうん」



ぞわって、寒気がした。
ゆうと男子がポッキーゲームするなんて。


勝った友達は、他人事のようにただただ頷くだけで。




「じゃあゆう、誰かとしてきて!」


今もゆうを促す。


「やだなぁ…」




不覚にもイラついた。


自分が勝ったからもうどうでもいいんだ。


ゆうになんかあったらどうすんだよ。



久しぶりに目が覚めた理由が、こんな嫌なことだったなんて誰にも自慢できない。




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