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□はじまり
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「天気良いからお昼寝してくるCー」





って言ったら跡部に思いっきり殴られた。
いてて、そんなに強く殴らなくてもいいじゃん。まぁ跡部の言ってることなんか無視してコート内にあるベンチの上でごろんって横になった。だってさ部活のときになるとぽかぽかしてて気持ち良いんだもん。跡部も俺と一緒にお昼寝してみたらいいのにね。



俺さ、睡魔には勝てないと思うんだよね。
午後になると太陽の位置が午前より高いから気温が〜、って習ったけど忘れちゃったな。



これ岳人とか宍戸に言ったら笑われるんだろうな…2人だってちゃんと覚えてないのに。俺だって頑張ってるっていつか言ってやろ。



あ…、睡魔以外に勝てないのあった。



…部活のマネージャー。




なんかダメなんだ、あ、別に嫌いってワケじゃなくてさ、なんかこう…苦しくなるって言うか…。わかる?って俺誰に聞いてんだろ。



あ、ホラ今日も来た。俺が寝てるとマネージャーのゆうが小走りで俺のところに来んの。跡部に言われて起こしに来てくれるんだけど、ゆうが来ると苦しくなるからどうしたらいいかわかんなくなるんだ。だから来てほしくなくて、でも来てほしくて。わけわかんなくなるから起きなきゃいいんだって思ってギュッて目を瞑った。でも、



「ジローちゃん起きて」


なんてくすぐったくなるような可愛い声で言うから、よくわかんないけどドキドキして目覚めちゃう。だから俺も寝ぼけた声で



「なぁに?」


って言いながらゆうの方を向けば、フワッて笑って俺に手を差し出した。その差し出された手の意味がハッキリよくわかんなくてゆうの手と顔を何回か交互に見た。そしたら俺の手になんか暖かいものがあたたって、見てみたらゆうの手だった。


「部活、始まっちゃったよ。行こ?」



…ダメだって、手なんか握ったら。しかもその笑顔反則。あぁもう、すっげぇくるCー…。ゆうの手を握り返したら握り返してきて、嬉しさと恥ずかしさが混ざって俺の顔に熱が集まってくのがわかった。てかなんだこれ俺こんなの知らない、こんなドキドキしたことない、こんな気分になったことない。









あ、



そっか、俺ゆうのこと好きなんだ。




僕の知らない音





俺の中で何かが始まった気がした



















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