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□Timorous hand
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距離を置いて数日後
あいつが日に日に痩せていってる気がした
よく見たら痣もある
「…ゆう、ちょっとこっち来いよ」
さすがに変だと思って声をかけた
授業が始まる3分前だった
そんなこと知るか
授業よりゆうの方が大切だ
俺はゆうの腕を引っ張って保健室に連れて行った
「…ブンちゃんどうしたの?」
「……んだよ、それ」
「え?」
「…その痣、なんなんだよ。誰にやられたんだよ」
「……なんでもないから!ブンちゃんは気にしないで?」
平気じゃない癖に
「 」
ゆうがなにか言おうとした
でもそれは俺によって塞がれた
触れるだけのキス
生まれて初めてだった
ゆうの顔を見ると少しだけ赤くなってて
顔の中心に熱が集まっていくのがわかった
これ以上ゆうの顔を見てたら
どうかなりそうで
壊してしまいそうで
ゆうの腕を軽く引っ張った
顔が見えなくなった
けど、さっきよりも距離が縮まって
よりゆうを近くに感じた
「…ゆう、」
ゆうを抱き締めた
思わず泣きそうになった
細くなってしまった、痣が増えてしまったゆうを助けられなかったのは俺で
今ゆうを抱き締めてる
この手が、俺自身が
臆病だったから
これからまた痣が増えるくらいなら
俺がゆうを守る
ゆうになんて言われようと
この手で守るから
Timorous hand
(この臆病な手は)
(お前を守るためなら)
(どんなに汚れなって構わない)
(それくらい大好きなんだ)
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