捧げ物

□あなたに巡り合えた事が私の幸せ
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その時、ふわりと何かに抱き留められ、何だとゆっくり目を開く。すると、目に飛び込んできたのは先程助けたハルトの兄――カイトの姿だった。背中に何やら翼みたいなものを装着していて、それで飛んでいるようだ。



「…、なんで…」


「…先程、お前はハルトを助けてくれた。そんなお前を見殺しにはできなかった、それだけだ」



地面に足をついた時、カイトは少女を降ろし、早々にハルトの元へ歩いていった。
その後ろ姿を見て、僅かに微笑み、礼を言おうとした時。



「おい、あれ…『不死の女』じゃないか?」


「ほんとだ、何してもくたばらねぇって噂だよな」


「いくら助けてくれたからといっても、あの『不死の女』ならねぇ…」


「化け物が化け物を倒したのか。はは、笑えるぜ」



飛び交う言葉に少女は一瞬にして柔らかな笑顔から、感情を落としたかのようにす、と無表情に変える。そして再びフードを被り、すっかり変わり果てたこの街を後にした。













カイトはハルトの肩に手を置いたまま、少女の背中を見ていた。








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