夏戦

□07
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夜はおとなしくお湯を入れて戻すタイプのスープと、おにぎり、と昼の残りのサンドイッチ。



「あ〜、お昼におにぎりにした方がよかったね。なんかパサパサする。」

「おいしい」

「そう?優しいなぁ」



パサパサしているのは、時間が経っているからなのか、わたしの握り方が悪いのか。
佳主馬は気にせずちょっと歪なおにぎりを食べてくれる。
まぁ、佳主馬がいいって言うならいいか。



「とくいじゃなくても、ぼく、だいじょうぶだからね」

「え、毎食これだよ?」

「いいよ。」

「(お母さんがいてよかった。)……将来的には料理できるようにするよ」



また両親のいない日があるときに困るからね。
一足先に、立ち上がってお風呂の用意をする。
先にやっておけばよかった、と思いながら掃除をして、全自動のスイッチを入れた。


戻ると佳主馬はまだおにぎりを食べていた。
やっぱり大きかったな、料理できなくてごめん。
そして小食な君に無茶をさせてしまってごめん。



「お腹いっぱいなら残していいからね」

「た、食べられる」

「……後でおなか痛くなると大変だよ?」

「うー……。」

「(そんなに惜しいか。)」

「おねぇちゃんが作ったやつだもん、」



まゆげをハの字にして、申し訳なさそうに佳主馬は言う。
ああ、お姉ちゃんが作ったものだからそんなに苦戦してるんだよ、君はどうしてわたしに幻想を抱いているの。



「ごめんね、ゆっくり食べてね……。」

「うん」



おにぎりの皿以外を流し台に運んで洗う、その時また佳主馬がわたしをじっと見るから、どうしたのかと聞く。
やっぱり、なんでもないよと言われてしまうのだけど。
なんだか不思議な子だ。

しばらくでおにぎりを食べ終えて皿を持ちながら、おいしかった、と笑顔で言ってくれた。

言わせてしまったことがまた申し訳なかった。
おいしい訳ないのに、おなかだっていっぱいだろうに。
無理をさせていると思うと、泣きそうだ。
わたしはこれじゃだめなのに。



「ねぇ佳主馬」

「うん?」

「いい?甘やかせばいいってものじゃないんだよ、時にはちゃんと厳しく言うことも大切なの」

「ぼくはおねぇちゃんにいい子に育ってほしいよ」

「そうでしょ」

「でも、きびしくしたらおねぇちゃんもぼくもつかれるよ」

「愛情をもって接するのはつかれることなんだよ」

「そういうもの?」

「そういうもの。」






「」

「」






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