あひる

□どうして
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※男夢主です。
※白石がちょっと可哀想?です。













「なぁ、なんでさぁ、した後ってさぁ、こんな、なんつうか、……空しいんだろうな」

「……………」






日本で同性の結婚は認められていない。
世間的にもあまりいいものとは見られないだろう。
第一、同性での繁殖は不可能だ。

子孫を作れないなら結婚の意味がない。

分かってる。
分かってるよ。




でも、それを知った上で、理解した上で、僕はこの白石静という男を愛してしまった。


まさか自分がホモだったなんて。



いままでは柔らかくてかわいい女の子がすきだと思っていたし、ていうかすきだったし、ゴツイ男とは一緒にいるのも嫌だったはずなのに。
どうして、こんな、男を、僕は。






横で目を伏せている白石は確かにゴツイ、デカイ。
だが加えて美しかった。




白い頬を撫でたら冷たくて、僕の知っている白石はいつも汗をかいていたし、上気した肌はほんの少し赤かったのに。

僕が憧れ、恋をした白石はしんだような目はしていなかったのに。



何がしたかったか、なんて自分でも分からない。

ただ白石を、自分のものにしたかった。



適当な理由をつけて部屋に連れ込み白石の手首をベッドにくくりつけた。

最初は抵抗していたけど途中からは一切抵抗しなくなった。
観念したとか、了承したとか、そういう感じの停止ではない。

おどろいて身体が固まってしまっているだけかもしれない。


こんなことしてなんになるのだろう。

こんなことしても白石が僕を見ることはないのに。



どれだけ吐き出しても満足なんかできないし、むしろ僕は空しくなっていった。



白石の悲鳴に似た呻き声、鋭く睨む目、痕のついた手首。


どれを見てもいい気分にはなれなかった。


求めているのはこういうことじゃない。
僕が欲しいのは未来だ。



理由なんて分かっていた。
僕はこんなにも君を愛していて、こんなにも愛してあげたいのに、何も残せないなんて。


悲しんでいてもどうにもならないこともあるのだ。
例えば君が男であることとか、僕が男であることとか。


小さくため息をついて、また視線を落とすと白石の目は開いていた。
起きたのか、って僕が声をかける前に掠れた声で白石は言った。


その言葉に僕は返事をできそうにない。

とりあえず笑顔を向けて白石の唇にキスをした。


そんなもんこっちが知りたいくらいなんだよ。


















2013/02/01





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