夏戦

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少年と恋(佳主馬)






わたしが中学1年生の時、佳主馬にバレンタインだから、とチョコを渡そうとしたら「甘いのきらい」って断られてしまった。
それから佳主馬に何かを贈るという行為をしていない。

佳主馬に拒絶されるのってやだ。

気持ちは隠してしまうことにした。


その後、佳主馬が中学1年生になった年の2月。
いきなり電話をしてきた佳主馬は怒っていた。



「…機嫌わるいね。カルシウム足りてないの?」

『あり得ないくらい足りてるから。』

「そうなの、じゃあどうしたの。」

『…お兄さんにはチョコあげといて僕には無いってどういうこと。』

「は…??ていうかお兄さんって、だれのこと…」

『ケンジさんだよケンジさん…っ!!』

「ちょ、アツくなってるよ」

『アツくもなるよ…!!』

「なんでよ」

『………………』



佳主馬とは昔からの仲で、わたしが高校生になるのと同時に東京に来てからリアルでは疎遠になっていたけど、OZでは前と同じように話したりしていた。

ケンジくんはクラスが一緒で、ラブマ事件の時にケンジくんが佳主馬と知り合って以来ケンジくんとも仲よくさせてもらっていた。

ケンジくんに渡したチョコレートに深い意味はなくて、仲のいい人に渡す、所謂友チョコと変わらないのだ。

佳主馬にはそういう気持ちで渡したくないし、第一、佳主馬は受け取ってはくれないだろうし。



「ちょっと、なんで黙るの」

『……………』

「佳主馬、甘いのきらいだって言ったじゃない」

『……………』

「佳主馬…?」

『……きらいじゃない』

「……え??」

『…っ本当はきらいじゃない、だからこれからは僕にもちゃんとちょうだい』

「……………」



わたしが分かった、と答えたら佳主馬の不機嫌な声は落ち着いた。

怒ってごめんと言われたけどそんなこと全然気にしないくらいわたしはいま幸せだ。








嘘とチョコレート




(なんであの時断ったのよ)
(……恥ずかしかったんじゃないの…)
(…理由かわいいから許す)
(それはよかった)









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