魔法
□log
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「くーりすまっすがこっとっしもやってくるー」
「なんの歌?」
「えー、チキン屋さんの歌。クリスマスになると流れるの」
「歌詞は日本語?、分かんないや。」
「日本語だよー、かなしかったできごっとっもけしさるようにー」
「…………(楽しそうだからいいか。)」
手拍子をしながら分からない言葉を話しているように見える。
名前の歌はちょっと調子が変だ。
名前とクリスマスを過ごしたいと思ってる、部屋を空けてくれないかな?とジェームズ達に頼むと快く了解をもらえた。
各々の予定もあるようで、部屋は空く予定だったらしい。
楽しそうな名前と一緒にいるだけで気分もよくなり、いまばかりは負の気持ちなど一切なかった。
名前は僕の知らない歌をたくさんうたっていたが、急に止めて僕の手を取って踊りだした。
名前は踊りの調子も少しだけ変だ。
おかしくなって笑った。
名前も笑って、それから僕を呼んだ。
「リーマス」
「なに?」
「クリスマス、楽しいね。」
「そうだね。」
「リーマスとパーティできるなんて思わなかった。だから、今年は特別楽しい。」
「本当?喜んでくれてうれしいな」
「あのね、来年も、一緒にクリスマスしたいんだ。」
アルコールが入っている訳でもないのに、名前の頬は赤く染まっていて、表情はしまりがなく弛んでいた。
僕の手を上下に、左右に、動かしながら、また楽しそうに歌い出した。
「ねぇ名前、酔ってるの?」
「えー、酔ってないよー」
「ちょっと抱き締めていい?」
「いいよー」
「…………」
背中に腕を回して名前の体を引き付けた。
何がおもしろいのか、名前はまた笑い出した。
やっぱり酔ってるんじゃないかな。
名前も僕の背中に腕を回した。
体が小さく震えているのは、笑いをこらえようとしてるみたい。
全く堪えられてないけど。
「…ふ、ふはっ、ふふふ、なんか、しあわせ」
紅茶で酔うクリスマス
そうだね、と呟くと名前がまた笑いながら、僕の頭を撫でた。