銀魂2
□愛あい【愛】
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「銀時ば好きな理由?」
「ん〜、そうじゃな…あの憎めないバカさ加減かの。バカな子程可愛いきな!!アッハッハッ!!」
「辰馬を好きな理由だぁ?」
「…別にんな好きってわけじゃ…。ま、まぁあえて言うなら、救いようのないバカな所か?見てて面白い。たまにイラッとするけどな。」
「つまり二人ともバカって事ですねィ」
「これがホントのバカップルってヤツだな」
「面白くないですぜ、土方さん」
「黙れ」
「で、結局君達何しに来たの?」
万事屋の客席に腰を下ろしている真選組のバカコンビを、銀時はウザそうに見つめた。
「今真選組内でな、"愛とは何か"っつう調べ物をしている」
うち禁煙なんだけど、という銀時の言葉を無視して土方はタバコに火を付けた。
「将軍が言い出した質問でしてね、3日以内に調べてこいって松平のとっつぁんの命令でさァ」
徐に懐から灰皿を取出し、土方の前に置く沖田。
「てめーら息ピッタリじゃねーか。禁煙だっつってんだろ。新手の嫌がらせかコノヤロー」
「まぁまぁ銀時。こちらさんらも仕事できちょるんじゃ、タバコくらい…」
「黙れモジャ。だいたい何その、愛とは何かって。キモイんだけど、なんでそれでうちに来んの」
早速イラッとした銀時は、隣に座っていた坂本の髪を掴み黙らせる。
土方はタバコの灰を落とそうと灰皿に手を伸ばす。
よく見れば、灰皿には『死ね土方』と赤で書かれた文字と小さく土方の写真が貼ってあった。
「手っ取り早く知るには、愛し合ってる恋人達の所に出向くのが一番早いでしょう。」
「辞書で引くのが一番早いんじゃね」
めんどくさそうに鼻をほじる。
ハナクソは灰皿の写真があるところにピッと飛ばす。
「おい総悟、お前が手っ取り早く知りたいのは俺の始末方法だろ。あっ、ハナクソ投げたな?テメーは人の顔写真にハナクソ投げたな?謝れオイ」
「辞書だなんてんなヤボな。愛なんて人それぞれ色んな形があるでしょう?」
「おい、テメーら、無視してんじゃねーぞコラ」
「だからってなんで俺ら?もっと他にいい人ら居るでしょ。あ、ほら、君らんとこのゴリラ。お妙へのストーカーも愛故の行動じゃん。」
「近藤さんですかィ?」
「近藤さんは既にお妙に愛とは何かを確かめに今行っている。」
「つまりストーカーしてんのね。今頃ボコボコだな」
銀時はまだ掴んだままだった坂本の髪の毛から手を離した。
なん本か抜けて指に絡まっていたのを振り落とす。
結局なんだかんだと言って他を当たろうとしない二人を見て諦めたようにため息をついた。
「もーめんどくせぇ。愛だか何だか知らねーが、質問すんならしてさっさと帰れ」
「旦那、愛だか何だかじゃねェです、愛とは何かです。」
「はいはい、愛のありかね。で、何答えれば満足?」
少しいじけている坂本の頭を軽く撫でながら沖田の方を向いた。
「ズバリ、愛とはなんですかねィ?」
「質問そのまんまじゃねーか!!!」
思わずツッコミを入れた銀時はテーブルをバンと叩いて叫んだ。
「ん〜、思いやりかの?」
「テメーはそれっぽいことツラッと答えてんじゃねーよ!!」
坂本の頭を殴る。
「成る程、ドメスティックバイオレンスですねィ」
「何、俺の今の行動!?これ愛なの!?」
殴った行動を見て沖田は愛だと言う。
土方はどこからか手錠を取出し銀時の両手に掛けた。
「…お前、何してんの」
「傷害罪だ。逮捕する」
「ふざけんなァァァ!!」
「DVは立派な犯罪行為だ。」
2本目のタバコに火を付けた土方が清々しい顔で言った。
ちなみに1本目はさっきの灰皿の、写真の部分を避けて火を消したようだ。
「これが傷害罪ならお前だってアレ、ジミーとか殴ってんじゃねーか!!あれも逮捕だろ!!」
「あれは愛のムチだ。暴力じゃねェ」
「じゃあこれも愛のムチだ!!」
なぁ辰馬?と、同意を求めると、ポカンと口を開けて「なにがじゃ?」と返答が返ってくる。
目の前で恋人が手錠かけられてるのに興味ゼロで、今のやりとりを全く聞いていなかった。