銀魂3

□傷痕
1ページ/2ページ





気になる。






隣で寝ている男の、

包帯の下が気になる…………。







  傷 痕










此所はどこぞのホテルであろう。
入った記憶は定かではないが、飲み屋で高杉と久しぶりに会って、一緒に飲みに行ったのは覚えている。
過去にだれかれと関係のあった時代。高杉とも始めてではないので、酔った勢いでそのまま湿気込んでしまった事は別に驚かない。
それよりも今は、情事後であろう布団にくるまった裸の姿で、左目にだけ巻かれている包帯が気になってしょうがない。

「たかすぎー……」

呼び掛けてみた。返事はない。ただの高杉のようだ。

自分の乱れた着衣を直し、高杉の顔を除き込んでみる。
高杉が目を怪我したのは攘夷戦争時代だったと聞く。
自分が知らない事から、戦を抜けた後の出来事だったのだろう。
だから、どう怪我したのか、失明したのか、包帯の下がどうなっているのか知らない。

噂では目の下に蝶の刺青が入っているなんて話も浪士から聞いた事があるが、それは流石にガセだと思う。
万が一にも本当だったら、笑いを堪えられないかもしれない。
……多分斬られるな。

まぁ怪我をした…に間違いはないハズである。
その場に居た銀時や桂が言っていたのだから。

ただ、今の時代の…天人の医療なら、失明さえしていなければ傷痕なんていくらでも消せる。
天人嫌いの高杉がそれをするか微妙なところだが。

いやこの中二病患者の事だ、実は包帯はファッションかもしれない。
笑いが込み上げてきた。


考えれば考える程、包帯の下がどうなっているのか気になり出す。


「……高杉、寝ちゅうがか?」


もう一度、声をかけてみる。
酒が入った後というのもあるだろう、規則正しい寝息だけが聞こえ、起きる気配は全くなさそうだ。

もし起きたら、殺されるかもな

そう思いながらも沸き上がる欲求には勝てず、そおっと包帯に手を伸ばした。


いい具合に、右側を下にして横向きに寝ている。包帯の端が後ろ髪の下に隠れているのを見つけ、静かに外す。
起きないように、軽く頭を持ち上げゆっくりと巻かれた包帯を外していく。



最後の二巻きくらいになった頃、ちらりと傷のようなものが見えて一瞬手を止めた。

「あ……」


やはり、
傷痕なのか



最後まで確かめようと、手を動かし始めた瞬間、
物凄い強い力で腕が掴まれた。




「……!!!」



やば。
と思った時には、もう遅いもの。
ギリギリと折れそうな程に握られる腕
殺気と共に凄い睨みを利かせた右目がこちらを視ていた。
軽くホラーだ。

冗談を考えられるくらい余裕はあると見せ掛けて、冷や汗をかく。腕が痛い。



「てめェ……何してやがる……」


腕を掴んだまま、のそりと起き上がった高杉の顔から、外しかけていた包帯が垂れ下がる。


「アハハ…ミイラみたいじゃ……いだっ!!」

馬鹿だから、冗談を口にしてみたら思い切り腕を捻られる。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ