銀魂1

□愛すべきパシリ
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久しぶりの非番。

よく晴れた日だったのならば、土方の目を気にせずに・・・というか怒られる心配もなくミントンに集中できるというもの。
今日の日のために、先日ラケットを新調したばかりだった。
しかし縁側にでて空を見上げればどんよりと影を落とした雲と、シトシトと静かに降り続ける雨。
山崎退はがっくりと肩を落とした。
せっかく新しいラケット買ったのに・・・とピカピカのラケットを見つめながら溜息をつく。
屯所内の道場に行って素振りでもしてこようかなとも考えたが、他の隊士は非番ではないので道場は使用中のはずだ。

「はあ・・・。仕方ないか・・・部屋に戻って今日はゆっくり寝てようかな」

そうと決まると山崎は立ち上がって自室へと向かった。
途中で原田とすれ違い、一言残念だったなと苦笑われた。
ラケットを持つ手と、非番特有の隊服を着ていない姿、そしてしょんぼりとしている表情をみて察したのだろう。
一瞬原田の方を振り返り、そうだ酒にでも付き合ってもらおうかとも思ったが、原田は隊服を着ている。非番ではない。
またしても肩を落とした。

自室に着くと、部屋の鍵が開いていることに気が付いた。
監察方の部屋は機密事項が多い為、一般隊士が入れぬよう山崎・篠原・吉村それぞれの自室に鍵がついている。
それをたとえ厠に行く時だって閉め忘れることは絶対にない。
今だって、ミントンしようと部屋を空ける時施錠は忘れていないはず。

「ってことはー・・・」

自分以外に鍵を持っているのは、同じ監察の2人と・・・

「・・・副長」

「てめえ・・・どこ行ってやがった」

自分の部屋のど真ん中でふてぶてしくタバコをふかしている土方に山崎は盛大な溜息を吐き出した。

「どこって・・・俺、今日非番ですよ?どこに行ってようが別にいいじゃないですか」

ちらりと土方を見ると眉間に皺を寄せている。

「よくねえよ。タバコがラスト1本だ。買ってこい」

「ええぇ!!?あんた今人の話聞いてましたか!?俺今日非番・・・っ」

「知るか早く買って来い。」

ギラリと目を光らせて言えば
山崎は背筋が凍るのを感じた。
行かなければ 殺 ら れ る !

はあ・・・と本日何度目かの溜息をつくと、ふと自分が幸薄いのは溜息のつきすぎで幸せが逃げてしまったのではないかと思う。

しぶしぶ土方からお金を受け取ると、部屋を出ようと障子に手をかける。
ふと、雨が降っていたことを思い出した。
自分は傘を持っていないことも。
山崎はゆっくりと土方の方を振り返る。

「副長・・・あの・・・」

「あァ!?」

怖ええぇぇぇ!!!!
とても「傘無くしたんで貸してもらえませんか」なんて言える雰囲気じゃねえぇ!!

土方の目は、今すぐ行かねぇと殺すとでも言うようなそんな感じ。

「いいい行って来ます!!!!」


山崎は雨も気にせず全力で部屋を。そして屯所を飛び出した。


 




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