銀魂1
□命日
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長月一日
「やっぱりお前も来てたのか…」
とても立派とは言えない墓石の前で、酒をかけながらしゃがんでる辰馬を見た。
「おんしもか…」
辰馬はゆっくり振り向くと、泣いた後なのか赤く腫らしている目で俺を見上げる。
「今日でもう10年目か…早いな…」
辰馬の隣に座ると買ってきた饅頭とジュースを墓に置き、手を合わせた。
「…年がたつにつれて…段々平和になってきちょる…」
ぽつりと言うとゆっくり立ち上がり、墓石に手をつく。
まだ戦時代、死んでもそれが当たり前のような時代だった。
その頃俺らはまだ14、15くらいの子供で、戦争には参加の「さ」の字もなかった。
俺と辰馬は昔からの親友で、いつも仲良く遊んでいた。
無邪気で明るい辰馬と、全てがめんどくさくてダラダラしていた俺は、真逆の性格だからか、ちょうどいい感じに釣り合っていた。
そんな俺らにだって好きな娘の一人くらいはいた。
彼女は一つ年上で、いたずら好きの俺らの面倒をよく見てくれて、とても優しい人だった。
「…あの頃もせめて今くらい平和じゃったら…」
よく3人で遊んだんだ。
「わしのせいじゃ…」
外で遊んでいたときに、天人の攻撃にあった。
爆撃にあったんだが、俺と辰馬は上から爆弾が落ちてきているなんて気付きもしなかった。
でも一歩後ろを歩いていた彼女は、それに気付いて叫んでた。
聞こえなかった。何て言ってたか、全然…。
俺達は笑いながら手を振っていると、いきなり彼女は走り出し、女とは思えない強い力で俺と辰馬を突き飛ばした。
…漫画みてぇな話だよな…
目の前には、彼女の手だけが転がっていた。
他は跡形もなかった。
「お前のせいじゃねー…。俺があの時、あいつの声に気付いていれば…」
「そりゃあわしだって同じじゃろ…」
「…やめようぜ…毎年毎年、同じ事ばっか言ってんじゃねーか…」
天人を恨んだ。
みんな殺してやりたいと、殺してやると思った。
その翌年くらいにはすぐに戦に参加し始めた。
俺は暗く殺気だてて、辰馬は明るく振る舞い気持ちを隠して…