夢小説

□病は気から
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「中在家先輩、また怪我ですか?」

「…………」

「…先輩?」


無言で医務室の入口に立っている
中在家先輩。


私は顔色を窺いながら
近付いてみた。




しかし大きいな、中在家先輩。
筋肉質でがっしりとした体格なうえ
私が小柄だから
余計大きく見える。




「あれ、少し顔が赤いですね、
熱ですか?」

額に手を当てようとしたら、
中在家先輩が何かぼそりと言った。


「………大河内……」

「え?」


よく聞き取れず固まっていたら、
中在家先輩が顔が
すぐ目の前に迫ってきた。




「えっ、えーっ!?」




中在家先輩の体が
私の肩にのしかかる。



迫ってきたんじゃない、
倒れてきたのだ。






私は避ける訳にもいかないし
当然支えられる力も無く
中在家先輩と共に後ろへ倒れた。




覆い被さる中在家先輩。



やっぱり胸板厚いなー
…などと考えている場合ではもちろんない。



肌が触れる場所は
熱いくらいに熱を帯びていた。



「やっぱり熱だ……」


私の顔のすぐ横に、
目を閉じた中在家先輩の顔があり、
その熱い吐息が耳に当たる。


呼吸が荒くて苦しそうだ。





「中在家…先輩?」

「……」


意識も無いみたい。


とにかく布団に寝かせなきゃ!




私は何とか中在家先輩の下から
這い出ると、
医務室の布団を敷き

うつ伏せに倒れている中在家先輩を
仰向けにして
何とか布団の上まで引き摺った。

おかげで袴の裾が
畳に擦れてしまったが、
仕方ない。




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