夢小説

□用心棒
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留三郎と並んで
ぶらぶらと村を歩く。


この村は市場があるので
割と栄えている方だ。
人も店も多い。





「ところで、留三郎は
何でこんな所にいるの?」

「野暮用でな。
そらは授業のサボリか?」

「違うわよ!
食堂のおばちゃんの手伝いで
買い物に来てるの!」

「…の割には
随分のんびりじゃねえか」

「うるさいなー
あ、留三郎、
お豆腐どこで売ってるか知らない?」

「豆腐ぅ?知らん」

「だよね…
あーあ、
平助くん連れてくればよかった」

「…そーだな」

「何むすっとしてんのよ」



さて、誰か村の人に聞くしか無いか、
とすれ違う人に声を掛けようとした時

大きな通りから少し外れた所に
物売りが居るのが見えた。
客を呼ぶ声が聞こえる。


「豆腐〜豆腐はいらんかね〜」




「留三郎!
あそこの人、お豆腐屋さんだよ!
行こう!」


探す手間が省けた、
と私は喜んでいたが
留三郎は怪訝な顔をしている。


「とめさぶろー?」

「そら、
あの物売りの足を見ろ」

「足?」


言われた通り遠目に足元を見てみるが
どこも変な所は無い。




ぴんと来ない私に留三郎は
鋭い目を物売りに向けて言った。

「あの物売りの脚絆だよ」

「きゃはんって…何だっけ?」

「脚絆も知らんのか。
袴の裾に巻き付けて
走りやすくするための布の事だ。
あの男、足首の動きが僅かに鈍い。
あれは恐らく脚絆の中に
棒状手裏剣を隠しているんだ」


留三郎お得意の説明に、
私は感心しながら聞き入る。






あれ?


「じゃああのお豆腐屋さん、
忍者なの!?」

「バカッ!
でけえ声で言うな、
勘づかれるだろう!」

「…留三郎も声大きい……」

「あの男は危険かもしれない。
俺が行ってきてやるから
お前はここで待ってろ」


そう言って留三郎は
私から銭を受け取り
物売りの方へ走っていった。




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