夢小説

□一つ屋根の下 〜は組〜
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「きゃぁぁぁぁぁぁあっ!!」




夜もすっかり更けた頃、
忍術学園に響き渡る悲鳴に
留三郎と伊作は飛び起きた。



「なっ、何だ?」

「女の子の声だったね」

「って事は…」




夏の長期休暇が始まったばかりの今、
忍術学園に残っているのは一部の生徒のみ。



実家が遠く帰省できない者や、
伊作と留三郎のように
課題が1学期中に終わらず
やむなく残っている者もいる。


そんな中、
くのたまで同じように残っているのは
ただ1人しかいなかった。





「大河内そらか…」


2人は同時に同じ名を口にし、苦笑した。






「どうする?留三郎」

「俺は行きたくない。
面倒な事になるのがオチだ」

「だよねえ…。
でも、侵入者に襲われたのかも」

「ないない。
あいつだったら
ボコボコにして追い返すだろ」


様子を見に行くのを頑なに拒む留三郎と、
やっぱり見捨てられなくて不安げな伊作。




どうしようか、と
悩んだまま動けずにいると、

くのたま長屋から
どたばたと騒がしい音、
さらにまた
きゃあきゃあと悲鳴が聞こえる。





留三郎は観念したようにはあっ、
と息を吐いて言った。


「解ったよ、行けばいいんだろ」

「うん!
万が一って事もあるから、
武器も持っておこう」

「そーだな…」






緊急事態だから仕方ない、
という事にして
2人は寝間着のまま
男子禁制のくのたま長屋へ向かった。


すると、廊下にそらの姿が見えた。
見ればそらは
部屋の戸をぴったりと閉じ
押さえている。





「あ……留三郎に伊作……
お願い、助けて…っ」



男勝りで強気ないつものそらと違い、
滅多に見せない涙を浮かべながら
潤んだ瞳で助けを乞う姿に
不本意にも2人は
どきっとしてしまった。



「ど、どうしたの、そらちゃん!?」

「侵入者か!?」


ただ事ではないと解り
武器を構える留三郎と伊作。

そらは鼻を啜りながら
涙声に言った。




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