夢小説

□一つ屋根の下 〜い組〜
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「おい、仙蔵…」

「何だ?」

「何がどうなったら
俺達の部屋で、大河内が寝てるんだ?」

「さあ?」




部屋の戸を開けた所で
そのまま立ち尽くし、
頭をひねる文次郎と仙蔵。

その前には部屋の中央で
布団も敷かずにぐっすりと寝ている
くのたまの大河内そら。

大きな瓢箪を抱き抱えている。
どうやら中身は酒のようだ。



部屋を間違えたのかもしれないと思い、
文次郎が外の壁を見るが、
掛かっている名札は
確かに"潮江"と"立花"だ。

"大河内"ではない。






「実習がやっと終わって
帰ってみれば…
まさかくのいちに
部屋を取られているとは…」

「しかも相手はそらだぞ」



大河内そらは1年生の時から
忍たま顔負けの忍のセンスを駆使して

罠にはめたり
悲鳴で騙したり
色を掛けたりと、

被害に遭っていない上級生は
いないと思えるほど
悪戯好きのくのたまだ。



文次郎と仙蔵も例外ではなく
そらにはかなり懲りていた。






「どうする?」

「うむ……
とりあえず起こすしか無かろう」

「き、気を付けろよ、仙蔵」



仙蔵が慎重にそらに近付く。


もしかしたらまた嫌がらせで
寝たふりをしているのかもしれないと
思ったからだ。




しかし軽く揺り動かしても
全く目を開ける気配が無い。


それどころか、
むにゃむにゃと気持ち良さそうに
熟睡している。




「起きねえな…」

「やはり見た通り
泥酔しているようだな」


そらから離れて
様子を見ていた文次郎が
顔をしかめる。


「それはそれで厄介だな…」

「酒癖は悪そうだからな」


仙蔵も腕を組み、
ふう、と小さく溜め息を漏らした。




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